瀬戸内海・播磨灘に位置する小豆島。香川県に属するこの「小豆島」という字を予備知識ゼロで見た場合、多くの人が「あずきしま」と読んでしまうのではないのでしょうか。私も最初に目にした時『ンンン?和歌山県に小豆島(あずしま)ってあるし、あずきしまと読むのだろうか?』と思いましたが、正解は「しょうどしま」と読みます。
ちなみに「あずきしま」というのも当たらずとも遠からずで、エンジェルロード近くの双子浦の沖合いにある無人島は「小豆島」と書いて「あずきしま」と読むそうです。うーん、何かのクイズ番組のようだ。
小豆島の特産品は400年の伝統をもつ醤油製造や手延べ素麺の他にオリーブアイランドとも呼ばれるくらいオリーブが有名です。これは瀬戸内海の温暖な気候が栽培に適していたと言われています。ということはつまり、寒くてもサイクリングがしやすい環境ということでもあります。
『え?でもそれならわざわざ小豆島まで走りに行く必要なんてある?』なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、小豆島には全国のローディーを惹きつけてやまないヒルクライムスポットがあるのです。
それが日本三大渓谷のひとつとして有名な寒霞渓です。標高は605mとそこまで高くはないのですが、島の中央に位置する寒霞渓へと登るルートは東ルート、西ルート、南ルート、北ルートとなんと4パターンもあるのです。寒霞渓十文字斬りといって一日でこのルートを全て制覇するという頭の狂った(最高級の褒め言葉)の豪脚達に愛されている素晴らしい場所なのです。
日本三大渓谷美と言われる程の素晴らしい景勝地を写真に収めたい…。という気持ちは以前からあったのですが、新岡山港から車でフェリーで小豆島へと渡るのも往復1万円ほどかかるので、足が伸ばせずにいましたが、自転車で渡ればかなり安く済むという情報をローディー仲間から聞きつけました。愛車を車に詰め込み、早朝5時前に自宅を出発!まずは新岡山港へと向かいます。
早朝ということもあり、交通量が少なくあっという間に新岡山港へと到着!!えーと、切符はどこで買うのかなとキョロキョロしていたら、既に先客ローディーが何名かいらっしゃるではありませんか。とりあえず同じ列に並んで券売機で切符を買います。
想像していたよりも大きく豪華な船でビックリです。こ、これは優雅な船の旅が満喫できそうです。早起きしすぎて既に眠い。船の中で爆睡して、行ったり来たり繰り返したらどうしよう。昔山手線の始発に乗り込んでそのまま力尽きて山手線を三周くらいしたトラウマが蘇ります。
自動車やバイクが乗船した後に自転車は乗る様子。肌寒い中ブルブルと震えながら待ちました。
自転車はこの様に丁寧に固定をしてくれますので、ロードバイクでも安心です。この日は私を含めて5名程のサイクリストが、早朝から乗り込んでおりました。
船室に入る前にデッキから記念撮影。朝日が素晴らしいですが、寝不足でなんだか溶けそうです…。
ローディーは常に動いていないと寒い生物…。凍死する前に船内で休みましょう…。
なんというスーパー豪華客船…。座り心地も良さそうなので、これは爆睡できそうです。
さて、どこに座ろうかなと悩んでいたら、出港してしまいました。朝二番目の便ということもあり席にはかなり余裕があるので、どうせならと思いまたデッキで記念撮影。
新岡山港がどんどん遠くなっていきます。寒霞渓を登り、無事にまた本土の土を踏めるのだろうか…。
小豆島土庄港までは約1時間10分としまなみ海道近辺の島々間を繋ぐ航路ではまず体験できない乗船時間です。今日はものすごく早起きしたし、到着まで少し寝るとしましょう…。
うーん、ムニャムニャ…犯人はヤス…とうなされたところで、『まもなく小豆島土庄港です。』というアナウンスで目が覚めました。降りる準備をしなければなりません。
自転車は降りるのが一番最後なので、自動車を見送ってからの下船となります。
最後の自動車が降りていよいよ小豆島へと降り立ちます。この日は一人で来ていたので勝手がわからないので、先行するサイクリストについております。
小豆島へ遂に上陸!!!「島」というと普段よく走っているしまなみ海道の島々を想像してしまいますが、しまなみ海道よりも街な印象を受けました。
今回のルートは小豆島を西からグルっと周り寒霞渓へ登って戻るルートです。ローディー仲間からおすすめルートをいろいろと教えて貰ったので、似たようなルートをルートラボから拝借してきました。
ということで西から海沿いへ向かいます。
朝早いので交通量は皆無で、ラクラク走れます。しかし、一緒に乗船したローディーの方々はみんな違うルートへ行ったけど、まさか今日のルートものすごくキツいとかじゃないよな…。
道中なんだかいい感じのアーチがあったので、記念撮影。今日の天気予報は曇りになっていましたが、今のところ快晴です。これもきっと日頃の行いがいいからなのでしょう。
しばらく走ると海沿いの道へ出ましたが、島の外周と言えば、やはりこういうアップダウン。序盤から脚を使わないようにインナーでクルクルと回して登りましょう。
ようやく登り終えたと思ったら、見える…見えるぞ…。また同じような登りが…。しかし、ここで無理にペースアップをしてしまえば、これから来る寒霞渓で力尽き、遭難してしまうのは確実。そうコーラを飲むとゲップが出るくらい確実なのです。
度々来るアップダウンを超えていると遥か彼方の山に何か見える。あれはいったい…。
確かあの方向は今回のルートで登り始めるあたり。何があるのかワクワクしながら登るとしましょう。
小さなアップダウンではなく、ようやく本格的な登りに入ってきたと思ったら『寒霞渓』の案内板が出ていました。
そして斜度も徐々に上がってきました。しかし、まだ辛いというほどではありません。決して踏みすぎないようクルクルとペダルを回し続けます。
ふとガーミンの斜度計に目をやるときれいな上り坂を描いています。後半は激坂区間ばかりだと聞きましたから、この図形が更に斜めになるのでしょう。
あれ、あまりの辛さで天国へ来てしまったのか…。目の前に観音様が見えてきました。
どうやらこちらは小豆島大観音というそうです。しかし、ロードバイクに乗り出してから、埼玉県の鳥居観音や淡路島の平和観音寺といろんな観音様を見ている気がします。
立ち寄ろうかなとも思いましたが、寒霞渓の他にもいくつか寄り道したいところがあるので、また次回来た時にでも寄るとしましょう。そのまま通過します。
少しずつですが、道幅も狭くなってきました。家もだいぶ少なくなってきたので、そろそろ山道に入りそうです。
オリビアンというホテルを通過したあたりから一気に山道になってきました。ルートを確認するとこれからまだまだ登ります。気合いを入れないように省エネ登坂をしなければなりません。
ヒイヒイ言いながら登ったと思ったら今度は下りになりました。あれ?道を間違えたのかなと思ったのもつかの間…。
遂に民家も無くなりいよいよ本格的な「THE 山道」という感じになってきました。いよいよか…。長い登坂。しかも今日はソロライドです。これは気を引き締めなければなりません。
そういえば奥多摩の都民の森の道中も若干アップダウンがあったように思えます。なんだか関東にいた頃が懐かしくなってきました。
見通しが良い道へ出ました。意外と登ってきていたんだなあと実感できます。しかし寒霞渓はまだまだ先。
こ、ここはツイッターでフォロワーさんが野生の猿がよく出るといっていたところでは…。ノロノロ登坂しかできない私がこんな山道で襲われたら一巻の終わりです。タイヤレバーを片手に戦うしかありません。
斜度はそこまでではないので、意外と疲れずに登ることができます。フフフ…この日の為に楕円チェーリングを再導入した私に弱点はない…!!グレートですよ…コイツはァ…。
とても景色が良いところが見えてきたので展望台かなと思ったら全然違う…。ただの九十九折でした。しかし、これ程までにキレイな九十九折、しかも絶景が堪能出来るとは素晴らしい道です。
実にナイスは九十九折です。しかしさっきまで快晴だったというのにだんだんと雲行きが怪しくなってきました。山の天気は変わりやすいと言いますが果たして…。
あ、あれはフェリーがご一緒だったローディーさんでは…。同じフェリーに乗っていたというのにもうあんなに先行しているとは…!
寒霞渓はとても辛いということを聞いてから来ていましたが、ここまで意外なことに苦労することなく登れています。こ、これはもしかしたら、斜度がそこまでキツくなくて淡々と長い登りが続くだけなのか…。それともクロモリに乗ることにより、脚や膝を以前より酷使することなく登れているからなのか…。いやいや、ROTORのARDHU3Dクランク+チェーリングの効果なのか…。そんなことを考えているとなんだか黄色い看板が目に留まりました。
えーっとなになに…。これから3.5km斜度18%か…。なにぃい!!!?斜度18%!戦闘力18万だって!!??
そ、そういえばツイッターやブログでこういう写真を見たことがあるような…。えええ…でも、今日のルートってそんなにキツくないルートなんじゃないの…?このルートってめちゃくちゃキツい方のルートなのでは…!!?
うぉぉおおお…。こ、これはキツい…。先程までのハイキング気分から、まさかの地獄のような展開に早変わりしてしまいました…。
ガーミンの斜度計は18%から20%を行ったりきたりしています。斜度が15%を切ることはありません。こういった激坂はそこまで長くないのがセオリー…ここはダンシングとシッティングを切り替えて少しでも筋肉の疲労を分散させるして耐えるしかありません…。フフフ…人間の偉大さは―恐怖に耐える誇り高き姿にあるのです。(わからない人はジョジョの第二部でも読んでください。)
あ、そういえばさっき3.5km激坂区間って案内板に書いてあったような…。やっぱりもうダメしれない…。そういえばさっきから気分がだんだん…ングウ!!!頭痛がする…吐き気もだ…なんてことだ…このPIROが…気分が悪いだと…このPIROがあの激坂に体を破壊されて…立つことが…立つことができないだと…。
なんということでしょう…。あまりの激坂…!あまりの筋トレ状態に胃の持病が悪化してしまった様子です…。ま、まずい…。とりあえず休憩しなければ…。しかし、だいぶ標高も上がって寒くなってきました。ここで立ち止まって休んでしまって果たして本当に大丈夫だろうか…。汗冷えして胃だけではなく、脚を攣ったりしないだろうか…。
寒霞渓まであと3.5kmという案内板が見えているということはかなりの距離を下山しなければなりません。それこそ寒さで脚を攣ったりしてしまうかもしれません…。どうしよう…。とりあえず気分が悪くて立ってもいられなくなったので、道路の隅に座り込みます…。まずい…。これは誤算だった…。そういえばお医者さんからあんまり過度な筋トレするなよと言われたんだった…。いや、でも厳密には筋トレでもないし…。
あ!そういえばこの前焼き肉行ったときに太田胃散を持っていったけど飲まなかったんだった!!!もしかしたら!!と思い財布を漁ると出てきました!こ、コイツに賭けるしかねえ!
太田胃散をスポーツドリンクで流し込み、体を冷やさないようにしばらく自転車を押して激坂を登っていると段々と楽になってきました。うむむむ~~~んんんんんん!予想どおり太田胃散はなじむ!この肉体に実にしっくりなじんで、パワーが今まで以上に回復できたぞ!なじむ!実に!なじむぞ!フハハハハハ フフフフ フハフハフハフハ。
こ、これならペースを上げなければ走りきれるかもしれない!なんとか再び愛車へと跨りしばらくペダリングすると斜度が緩まってきました。ふと「美しの原高原」という案内板が目に留まります。こ、これはまさかwakiくんが言っていた人が少なくて「THE寒霞渓」という絶景が堪能できるという場所では…!脚をついてしまったものの激坂の後半までは登ってきていた様です。
ようやく激坂区間を登りきりフラフラとインナーローで案内の通り進むと「美しの原高原」へと到着しました!!
あそこに見えるのが展望台かな。よかった階段を登らなくて…。
おわー!なんという絶景!!今にも雨が降りそうなところを抜いては最高の眺めです!!諦めずに最後まで登って本当によかった…。あれだけ辛い思いをしたからこそ見れる眺めだと思うとより感動してしまいます。
ふとグーグルマップで確認すると寒霞渓はあそこに見える建物の辺りになるそうです。ということは寒霞渓はここよりも低いところにあるのか。つ、つまり下っていけば辿り着けるということでは…!?ヤッター!
つい先程まではシャッターを押すのすら面倒だったというのに「下り」というワードが頭に浮かんだ瞬間元気になるのが貧脚の悲しい性。愛車と絶景をバリバリと撮影する元気が湧いてきました。
ちなみにこの展望台、キレイな四角形をしていてミステリーサークルのような模様もあるので被写体としてはなかなか面白かったです。もっと広角が撮れるレンズを使用すると更に面白い絵が取れそうです。
汗冷えしないようにササッと撮影したら、移動開始!元気よく下っていきましょう!激坂区間を下っているとふとあることに気が付きました。あれ!?ボトルが!ボトルが一本無いぞ!!?どこ!?どこいった!?まさかキャトル・ミューティレーションか!?!?
そういえばさっき撮影中に風でバイクが傾いた時、なんとかバイクはキャッチできたけどあの時かなり傾いてたからポロっと落ちたのでは…。ええ…もしかしてこの激坂また登るの…?
思った通りボトルはやはり先程の展望台の下に転がっていました。まさかまた登るとは…でもあとは下るだけだから…と思ったのも束の間!!寒霞渓へ辿り着くためには最後にまた激坂が待っていました。
うわぁぁぁ…!!ひっぎぎいいいい!!こ、これでほんとにほんとにほんとにラストスパート…!!やけくそのきりもみ状態でなんとか登坂成功しました。勝ったのは…オレです!
小豆島と言えばサイクリングマップもあるくらいですから、きっとバイクラックも設置されているはずと見渡すと…。お、あったあった。あそこに自転車を停めるとしましょう。
さすが日本三大渓谷と言われるだけあってかなりの人です。観光バスもたくさん停まっていました。あたりをぶらぶらと散策していると展望台の案内板を発見!!これは行かねばなりません。むしろここが今日のメインディッシュみたいなものです。
お茶会を開催していたので、汗冷えした体に恵んで下さいと言いたかったですが、一人ピチパンサイクルウェアマンがお茶会に混じったら通報者です。我慢して先へと進みます。
お!これは間もなくな雰囲気です!ワクワクしてきました。
人がたくさん集まっています。おお!ここか!ここが遂に!!
おわー!素晴らしい!絶景!ブラボー!!ここまでの道中本気で吐きそうでしたが、なんとか辿り着くことができました。先程の「美しの原高原」も素晴らしかったのですが、寒霞渓もやはり素晴らしい眺めです。11月の上旬ということもあり紅葉はまだほんのちょっぴりでした。紅葉の時期はもっと綺麗なのでしょう。いつか紅葉の時期にも来てみたいものです。
そういえば展望台に来る途中ロープウェー乗り場があったけど、あんな所を通るのか!!いいなぁ…乗ってみたいなぁ…。しかし、さすがにスーパー観光地ということもあり、ロープウェー乗り場は大混雑。ただでさえ胃の不調で大幅に予定よりも遅れているというのに、ロープウェーに乗るとなればこの後はどこにも立ち寄ることなくフェリー乗り場へ戻るしか選択肢がなくなります。
他にもどうしても立ち寄りたいところがいくつかある為、泣く泣くロープウェーは諦めます。ああ、乗れていたら、どんな面白い写真が撮れていたのでしょうか…。最後に「寒霞渓」と書いてある石を記念に撮影して展望台を去ります。
でもやっぱり気になってしまい立ち寄ってしまいました。あ、人も減ってるし今がチャンスか…!?でもこの後の予定が…。散々悩んだ結果、ロープウェー乗り場の写真を眺めて自分を満足させました。
どれもこれも素晴らしい写真ばかり。こうしていろんな写真を眺めていると寒霞渓は四季折々の変化が楽しめるということがよくわかります。うーん、やっぱり紅葉の時期も来てみたい…。
バビュンと下って先程展望台から見えたダムまでやってきました。この日の天気予報は晴れのち曇りのはずだったのですが、下っている最中に雨が降るという緊急事態。小雨でまだ助かりましたが、長い下りというのが予想できていたので、念の為Raphaのcore Rain Jacketを持ってきていたのが功を奏しました。
先程チェーンが落ちたので手が真っ黒になってしまった…。トイレがあったので、手を洗い一休みします。上はあれほどまでに寒かったというのにここまで下ると別世界です。
ダムフェチの私としてはなかなか興味深いダムでした。かなり小さいダムではあるのですが、真ん中に島みたいにポツンと山が残っています。
ダムから少し下るともう海沿いの道へと出ました。あとはしばらく道沿いを走るだけです。しかし、先程まで小雨程度だった雨が、かなり強くなってきました。少し待てば止む可能性もありますが、予定していたフェリーの時間も迫ってきます。細心の注意を払いながら、このまま突き進むしかありません。
しばらく走っていると雨も止んできたのでペースアップ!おお!ついにあの有名な風車のある「小豆島オリーブ公園」が見えてきました!!
平地にあるのかと思ったら小高い丘の上でした。しかし、先程までアホみたいな斜度と長時間格闘していたのですから、激坂の「素振り効果」のお陰で自然と楽に登ることができます。
そして小豆島のインスタ映えポイントで有名な小豆島オリーブ公園の風車へ到着です!!!
先程まで雨が降っていたのですから、当然どんよりした空模様…。ですが、たくさんのインスタ映え女子たちがほうきを持って写真を撮っていました。
ここではほうきに跨って魔女の宅急便のキキの様にほうきで空を飛んでいるかのごとく撮影するのが流行っているそうな。
私もやってみたい気持ちはありますが、ピチパンのオッサン一人でピョンピョンはねていたら黄色い救急車を呼ばれかねません。とりあえず愛車を撮影します。
黙々と写真を撮っていたらお優しい夫婦から声をかけられ、記念に写真を撮ってくださいました。
「ほうき使いますか?」とご厚意で貸してくださいましたが、恥ずかしいので丁重にお断りさせていただきました。愛車と撮影してくださったことで小豆島でのとても良い思い出になりました。
さあ後は海沿いをひたすら走ってフェリー乗り場へと向かうだけです。平地はいいペースで来ているので、余裕を持って到着できそうです。名残惜しいですが、出発することにしましょう。
小さなアップダウンはありますが、あとはもう戻るだけですから最後の力を振り絞って走ります。平地は相変わらずいいペース。というかいいペース過ぎないか…?あれ?おかしいな…?この走行距離だととっくに山道に入ってるはずなんだけど…。
ふとスマホで地図を確認すると、本来のルートからでは外周を走るはずがそのまま半島を突っ切ってしまっていました。
あわわわ!なんてこった!こんなことならガーミンのナビをオンにしておくべきだった…。仕方がないので、反対方向から回り込み半島をグルっと一周して元の道に戻ることにしました。しかし、今思うとこれが非常にまずかったのです。
西側のルートを淡々と登ります。登りは多めですが、やはり寒霞渓の激坂に比べると大したことはりません。
少しずつ民家が減ってきました。雰囲気でいうとしまなみ海道の水軍スカイラインに似ています。道も狭くなり本格的な山道が見えてきました。
そして次の瞬間!!!!ギャー!!!!なななななんだ!!ケツに…!!ケツに激痛が…!!痛い!!こんなにケツが痛いのは小学校1年生の夏休みの最終日に泣きながら宿題をやり、家から逃げ出そうとしたところ親に止められ再度に椅子に座らせられたらたまたまバリバリに研いであった鉛筆がケツに刺さったくらいの痛みです…。ングググ…!!いたい…!!ケツがよっつに割れそうだ…!!ングググググ…ングウァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!
あまりの突然のことに思考が追いつきません。なんだ!なんだこれは…!?何が起こった!なぜこんなにもケツが痛いんだ…!!!針でも刺されたような…!ま、まさか…!!
そう思いお尻に手を当てると虫のような感触があったので慌てて払い落とします。なんだ、これは…。蜂?それとも虻か…?刺されたところが焼けるように熱く、ペダルを回すことができません。ま、まずい…まだその辺りにさっきの虫がいるかもしれないし、それも大量にいたりしたら…。
そこで問題だ!このえぐられた尻でどうやってあの攻撃をかわすか?
3択—ひとつだけ選びなさい。
答え1.ハンサムのピロナレフは突如反撃のアイデアがひらめく。
答え2.仲間がきて助けてくれる。
答え3.かわせない。現実は非情である。
一番良いのは答え2の気心知れた仲間が助けに来てくれるのがベストではありますが、しまなみ海道でもないのにそんなことはありません。答え3『現実は非常である』がふと頭をよぎります。
しかし、今日はトラブル続いたせいで免疫ができていたのか、答え1.ハンサムのピロナレフは突如反撃のアイデアがひらめいたのです。そういえば山を2つくらい戻れば市街地へ出るはず!!あそこまで戻れば何かしらドラッグストアもあるに違いありません。
痛みをこらえながら急いで下り、海まで戻り少し一休みするとだんだんと痛みが引いてきました。しかし、まだまだ痛いには代わりありません…必死に痛みをこらえながら30分ほどペダルを回すとドラッグストアへと辿りつくことができました。
店員さんに詳細を話すと「とりあえず何の虫かわからないというときはこれが一番ですよ」といかにも効きそうなゴールドパッケージを渡されました。
そうか!これが聖杯か!!そんな意味のわからないことを思いながらトイレへと駆け込み、ヌリヌリした瞬間!馴染む!!馴染むぞ!!こうかはばつぐんだ!!若干の痛みはあるものの先程と比べると段違いで楽になりました。
ケツの痛みが引いてくると突然冷静になってきました。なんだかもう疲れたのでフェリー乗り場に戻って遅めの昼食にしようかなと愛車に跨ると「エンジェルロード」という案内板が目に留まりました。エンジェルロードってあの潮がひいたら道が出来るっていうやつ??これは想定外でしたが、まさに怪我の功名です。ドラッグストアから目と鼻の先だったので、行ってみることにしました。
ほう…ここがかの有名なエンジェルロードですか…。ほうほう。すごく…オッサン一人で入りづらいです…。
しかしここで諦めてしまう私ではありません。きっとこのケツの痛みもここへ来るためのものだったのです…。
愛車に鍵をかけているとどこからかストレイ・キャットが出てきました。そうか…。私を案内してくれるのか…。でもケツがまだヒリヒリするからもう少しゆっくり歩いてくれないか…。
ふらふらと浜辺と向かいます。しかし、一大観光地だというのにえらい人が少ないな…。さっきまで雨が降ってたし、もうみんな帰りのフェリーに乗って帰ったのだろうか。
これは縁結びの神様か何かなのかな。そういえば猫もいなくなってしまった。
あれ?海へ着いたものの、エンジェルなロードが一切見えません。代わりにエンジェルソフトクリームなるものが見えます。
ふむふむこれがエンジェルソフトか。羽が生えているのが特徴なんですね。美味しそう。しかしこれまたオッサン一人で頼みにくいな。下のほうに作り方が載っているということはもしかして普通のソフトクリームを渡されて自分で羽をブスリと刺していくのだろうか。
あれ?これより先に進んだら入水自殺してるのかと思われそうなんだけど、エンジェルロードはいったいどこに?ま、まさかエンジェルなロードへ行くためにはこのまま海へ身を投げて魂だけでエンジェルなロードを歩くということなのでしょうか。
とりあえず記念に写真を撮っていると、「撮りましょうか?」とまたしてもお優しいご夫婦に声をかけてもらえました。「エンジェルロードが出てくるスイッチはどれでしょうか?」と尋ねると「今朝の8時頃はキレイな道ができていましたよ。」とのこと。人が全然いなかったのは今の時間に来ても何も見れないからなのでしょう。しかし、けっこうあの島まで離れてるけどほんとに道なんか出来るのだろうか。寒霞渓もそうですが、小豆島へはまた来る理由ができました。
時計に目をやるとそろそろ帰りのフェリーの時間が近づいていました。想定外の自体もたくさんありましたが、予定していないところもたくさん回ることができたので大満足です。あとはのんびりとフェリー乗り場へと向かいましょう。
フェリー乗り場付近のセブンイレブンで急いで遅めの昼食を調達し、フェリーを待ちます。小豆島へライドに行った方からはみんな素晴らしかったと聞いていますが、本当に素晴らしい所でした。
寒霞渓は季節によって様々な表情を見せてくれると言いますから、次回訪れるときは春か紅葉の時期に来たいですね。いろいろとトラブルがありましたが、結果良ければ全て良し。欲を言れば次回はもっと激坂を楽々登りたいところですが…。日頃から登りの練習をしなければという硬い決意も帰りのフェリーの中で一眠りすれば消えていることでしょう。そんなことを思いながら虫に刺されたお尻をさすりながら帰りのフェリーに乗り込みました。
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実はロープウェーは自転車も一人分追加で料金を払えば乗せてもらえたりします。(混雑時はわからないですが・・・)
私はあまりの寒さで下りが嫌になったので、お金の力でショートカットしましたw
ロープウェーからの景色もいいのでオススメです!